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以前、ThinkPad X61 / T61と、ThinkPad X200で、8GBメモリが利用できることを紹介しました。
“2世代前のThinkPad X61 / T61へ8GBメモリを実装して、快適な64bit環境を!”
メモリを8GB実装すると、8GBメモリをフルに使える64bit OSが欲しくなるのは当然です。国内だけで販売されているPCと異なり、全世界である程度の数量販売されているPCの場合、古い機種に対しても最新OSのドライバが提供されており、知識さえあれば古い機種を最新OSを搭載したマシンに甦らせることができます。
知識があれば、ということで、知識のない方は、最新OSのためにPCを買い替えられる場合があるかもしれません。
知識がなくても、ThinkVantage System Updateで楽々アップグレードのはずが・・・
ThinkPadの場合、知識がなくても、Lenovo社が提供するThinkVantage System Updateというツールを利用すれば、Lenovo特有の機能を生かしながらWindows 7 64bit版をインストールすることができます。64bit版OSの場合、既存の32bit OS (Windows XPやVista)からアップグレードはできず、常に新規インストールとなりますのでご注意ください。ちなみに、このThinkVantage System Updateの利用方法については、以前に紹介しました。
“ThinkPadは、ThinkVantage System Updateで、Windows 7へ楽々Upgrade”
以前、簡単に利用できるということをお話ししたのですが、ThinkVantage System Updateでは、必ずしもすべてのモジュールが追加されるわけではないようです。
“ダウンロード・ファイル”で、”Windows 7”が選択できない!
ThinkVantage System Updateで不足するモジュールは、手作業で追加すればよいのですが、Lenovo Japanのサイト (http://www.lenovo.com/jp/ )では、ThinkPad X61用のWindows 7向け追加モジュールのダウンロードができません。(ダウンロードサイトの”オペレーティング・システム”の選択しが、”Windows XP”、”Windows 2000”、”Windows Vista”の3つしかなく、図の通り、目的の”Windows 7”がない。)

ということで、諦めかけていたのですが、米国のLenovo社のサイトでは、ThinkPad X61用のWindows 7向けモジュールが提供されていました。

しかも、米国のLenovo社からダウンロードできるモジュールは、多言語対応されているため、ダウンロードサイトが英語であることさえ我慢すれば、インストール後はほぼすべて日本語表示されます。これだけモジュールが揃っているのであれば、Lenovo Japanのサイトからもモジュールを提供すればよいのにと思うのですが、残念です。私も長くIT業界にかかわっているので、理由は分からないでもありません。日本人は高い品質を求めるため、無償ダウンロードでモジュールを提供してしまうと、それに対するサポートコストがかかってしまうことが最大の要因でしょう。”ベストエフォート”という言葉がもっと一般化しないとダメでしょうねぇ。。。
必要なモジュールを米国Lenovoのサイトからダウンロードしてインストール!
ThinkVantage System Updateを利用してモジュールをインストールしてしまうと、何がインストールされて、何がインストールされていないのかよくわかりません。そこで、意を決してすべて手作業でインストールすることにしました。まずは、Windows 7 Professional 64bit版をインストール (方法は、こちらでは省略します)します。そして、米国Lenovoのサイトから必要なモジュールを選択してダウンロードします。実際に、米国Lenovoのサイトからダウンロードしたモジュールは以下の表の通りです。表には、それぞれのモジュールのコメントを付けておきました。ThinkPad X61のハードウェア構成によっては、不要なモジュールもあるかもしれませんので、コメントを参考にしていただければと思います。
名称 |
コメント |
ThinkVantage Tools (ThinkPad Device Experience) |
スタートメニューに、Lenovo ThinkVantage Toolsを追加し、ThinkVantage Toolsを一元的に起動できる(ファイル名:dsltttp30.exe) |
ThinkVantage Active Protection System |
ハードディスク・ドライブのための調整可能なクッションのような役割を果たします。(ファイル名:6isk05ww.exe) |
ThinkVantage Access Connections |
ワイヤレス・ネットワークへの接続とその管理ができます。(ファイル名:85c728ww.exe) |
ThinkVantage System Update |
最新のソフトウェアおよびドライバーの更新をチェックします。(ファイル名: systemupdate40-2009-10-19.exe) |
ThinkVantage Toolbox |
システム・ヘルスをトラッキングし、ユーザーに通知します。システムの健康状態を定期的にチェックしてくれます。 (ファイル名: lttsetup_60569208x64.exe) |
ThinkVantage Fingerprint Software |
セキュリティや利便性を高めることができます。指紋センサーとWindowsログオンパスワードを関連付けます。(ファイル名: fprx64_593_6581ww.msi) |
ThinkVantage Power Manager |
電力消費を最適化できます。X61の電源管理を正しく行うために必要。ただし、純正品でない互換バッテリーを利用している場合、警告が表示されて鬱陶しい思いをします。(ファイル名: 81u417ww.exe) |
ThinkVantage Rescue and Recovery |
ローカルまたは外部ストレージ・デバイス上のすべての設定とデータをバックアップできます。(ファイル名: tvtvrnr431_007jp.exe) |
ThinkVantage Client Security Solution - Password Manager |
ご使用のシステムのセキュリティ―を便利で高度な方法で保護します。異なるシステムのパスワードを一元的に保存します。(ファイル名: z909zis1032us00.exe) |
Firefox 3.6 Patch (Password Manager Patch) |
FirefoxとClient Security Solutionを併用しない場合は不要 (ファイル名: ff36patch.exe) |
Patch to fix compatibility issue between Client Security Solution 8.3 and Microsoft Office 2007 |
Office 2007とClient Security Solutionを同時にインストールしない場合は不要 (ファイル名: tvtcss83patch_office2007_64.exe) |
Patch to fix crash issue that is caused by Password Manager Plug-in in Internet Explorer |
IEとClient Security Solutionを併用しない場合は不要 (ファイル名: css83_ie_crash_32_64_v1_2.exe) |
Enabling Wake on LAN from Standby for ENERGY STAR |
WOL (Wake on LAN)の設定を変更するためのもの。必須ではない。 (ファイル名: osfj07ww.exe) |
Hotkey Features Integration |
ファンクションキーを使って、休止状態や、ワイヤレスLANのオン/オフなどを行うために必要 (ファイル名: 81vu22ww.exe) |
Hotkey Features patch |
上記のモジュールの不具合を修正するためのモジュール (ファイル名: 00vu01ww.exe) |
Intel Chipset Support |
PCの基本機能を正常に動作させるために必要 (ファイル名: oss911ww.exe) |
Intel GM965 Display Driver |
グラフィックドライバと、それに付随するツールが追加される (ファイル名: 7ld803ww.exe) |
Intel Matrix Storage Manager driver |
HDDを制御するためのドライバ。手作業でデバイス マネージャーからインストールする。また、BIOS設定の[Config]-[Serial ATA (SATA)]-[SATA Controller Mode Option:]は、”Compatibility”ではなく、”AHCI”にしておく必要がある。 (ファイル名: 6iio10ww.exe) |
Intel Wireless LAN (11bgn) |
Wireless LANが搭載されていないPCでは不要 (ファイル名: 6mws20ww.exe) |
Intel AMT 2.6 - Local Manageability Service and Serial Over |
Intel AMTが搭載されていない(有効になっていない)PCでは不要。Intel AMTを有効にする場合は、BIOS設定の[Config]-[Intel(R) AMT]-[Intel(R) AMT Control]を”Enable”にする。企業ユーザー以外は、通常不要な機能。 (ファイル名: 7tr204ww.exe) |
Bluetooth with Enhanced Data Rate Software II |
BlueToothが搭載されていないPCでは不要 (ファイル名: 7zbv18ww.exe) |
ThinkPad Monitor File |
モニタの種類を正しく表示するために必要。手作業でデバイス マネージャーからインストールする (ファイル名: 79oi22ww.exe) |
ThinkPad Power Management Driver |
X61の電源管理を正しく行うために必要 (ファイル名: 6iku08ww.exe) |
ThinkPad Audio Features XII (SoundMax Audio Software) |
X61のサウンド機能を正しく動作させるために必要 (ファイル名: 7ka403ww.exe) |
ThinkPad TrackPoint Driver |
ThinkPadのトラックポイントの3つボタンを生かす場合は必要 (ファイル名: 7bg683ww.exe) |
Registry Patch to arrange icons in Device and Printers folders |
[デバイスとプリンタ]の表示を、ThinkPadに合わせて格好よく変更してくれます。 (ファイル名: osfr02ww.exe) |
Update Modole KB976755 |
Windows 7 OSの更新プログラムです。(ファイル名: os7001wj_64.exe) |
Update Module KB958685 |
Windows 7 OSの更新プログラムです。(ファイル名: os7005ww_64.exe) |
Update Module KB978258 |
Windows 7 OSの更新プログラムです。(ファイル名: os7006ww_64.exe) |
Update Module KB979155 |
Windows 7 OSの更新プログラムです。(ファイル名: os7008ww_64.exe) |
Update Module KB981112 |
Windows 7 OSの更新プログラムです。(ファイル名: os7011ww_64.exe) |
Update Module KB981351 |
Windows 7 OSの更新プログラムです。(ファイル名: os7012ww_64.exe) |
Visual C++ 2005 SP再配布可能パッケージ |
Rescue and Recovery 4.3.1のインストールのために必要。Microsoft社のダウンロードサイトから入手。(ファイル名: vcredist_x64.exe) |
これだけのモジュールをWebサイトからダウンロードするだけで1時間程度の時間は必要です。また、インストール作業は更に1時間程度必要です。
これで、最新のThinkPad Xシリーズと同等だっ!?
Windows 7 Professional 64bit版の単純なインストールで1時間、米国Lenovoのサイトから必要なモジュールのダウンロード作業で1時間、ダウンロードしたモジュールのインストールで1時間、ということで、トータル3時間程度の時間が必要となります。何らかの手戻りがあると、更に時間がかかります。これだけの時間と労力をかけたメリットはあり、最新のThinkPad Xシリーズで利用できるLenovo ThinkVantageツール群がそのまま利用できます。
[スタート]メニューの[すべてのプログラム]-[Lenovo ThinkVantage Tools]を選択すると、右図の画面が立ち上がってきます。ここから、必要なツールを起動することができます。苦労してインストール作業を行ったのですから、まずは、[拡張されたバックアップと復元]を選択して”Lenovo ThinkVantage Rescue and Recovery”を起動して、OSのバックアップを取っておくことをお勧めします。
Lenovo ThinkVantageツール群だけでなく、[Fn] (ファンクションキー)を押しながら、[F5]キーを押せば、ワイヤレスLANとBlueToothのOn/Offができますし、[Fn]+[F4]キーを押せば”スリープ”状態へ移行します。すべての機能がWindows XPとは比較にならないほど安定して動作します。
次は、Windows Updateを行いましょう
これで終わりではありません。Lenovo ThinkPadのハードウェア機能が有効になったところで、Windows 7 Professional 64bit版に必要なソフトウェアを追加します。まずは、Windows Updateです。今回(2010年11月14日)、Windows Updateを行って驚いたのですが、50を超える更新プログラムをインストールする必要がありました。このWindows Update作業だけで、更に1時間程度の時間が必要となってしまいます。しかしながら、OSを安全に、安定して利用するためには絶対に行わなければならない作業です。
念のためですが、[スタート]-[すべてのプログラム]-[Windows Update]を選択するだけで、Windows Updateを行うことができます。もちろん、ネットワーク ケーブルを接続し、インターネットへの接続ができている状態で実行してください。
64bitに対応した無償のアンチ ウィルス ソフトウェアもインストールしましょう
まだ必要な作業があります。それは、アンチ ウィルス ソフトウェアです。OSが64bitになったのですから、これまでの32bit用のアンチ ウィルス ソフトウェアは利用できません。Windows 7 64bit用のアンチ ウィルス ソフトウェアを別途購入しなければならないかというと、そういうわけではありません。現在は、Windows 7を提供しているMicrosoft社が無償のアンチ ウィルス ソフトウェア “Microsoft Security Essentials”を提供しているので、それを利用すれば有償のアンチ ウィルス ソフトウェアを購入する必要がありません。TV で盛んにアンチ ウィルス ソフトウェアのCMが流れていますが、OSメーカー純正の無償ソフトに対する危機感の表れのように思います。以前、以下のBlogでも紹介しました。
“いつまでも、アンチ ウィルス ソフトにお金を払う必要はありませんよ!”
Microsoft Security Essentialsは、個人、もしくはPC10台以下のスモール ビジネスで無償利用が可能です。詳しくは、”MICROSOFTソフトウェア ライセンス条項 MICROSOFT SECURITY ESSENTIALS 1.0”をご参照ください。Blogを見て、自分でOSをアップグレードしようという方は、個人ユーザーがほとんどでしょうから、問題はないと思います。
Adobe社のモジュールも必須ですし、64bit OSならではの注意が必要です
次は、Adobe Acrobat Readerと、Adobe Flashです。これがないと正しく表示されないWebサイトや、カタログなどのPDF文書が見れないことがあります。これらは、アドビ社のWebサイト http://www.adobe.com/jp/ からダウンロードできます。
それから、64bit OSで忘れてはならないのが、Adobe PDF iFilter 9 for 64-bit platforms です。Windows Vista以降、PC内の文書を全文検索できるようになっています。ただし、ファイル内の文書を平文にするためのモジュール (これをiFilterと呼びます)が必要になります。32bit OSの場合、Adobe Acrobat Readerをインストールした際に、32bit OS用のPDF文書のiFilterが提供されるのですが、64bit OS用のiFilterが提供されません。つまり、64bit OSの場合は、何もしなければ全文検索の際にPDF文書が検索対象となりません。PDF文書が検索できないと、Windows 7へ移行した大きなメリットの一つが利用できないことになってしまいます。
ということで、64bit OS用のAdobe PDF iFilter 9 for 64-bit platforms をダウンロードしてインストールする必要があります。ちょっと面倒ですが、必ずインストールしておきましょう。
ThinkPad X61は、まだまだ使えます!
現在、1024x768の画面のThinkPadは販売されていません。無駄に字の小さい最近のPCより、ThinkPad X61の方が目に優しいですし、通常業務で利用する上ではパフォーマンスも悪いわけではありません。ちなみに、Windows 7 Professional 64bit版をインストールしたThinkPad X61、X200、X201sの”パフォーマンスの評価”の画面を取っておきました。(X200と、X201sに遅いHDDを搭載していたため、”プライマリハードディスク”の値は無視してください。)
(X61の評価)

(X200の評価)

(X201sの評価)

個人的には、無駄なアプリケーションがゴテゴテと入ったメーカー製PCよりも、使い慣れたキーボードとトラックポイントとディスプレイで、シンプルなソフトウェア構成の安定したWindows 7搭載ThinkPad X61はお勧めです。
最もお勧めは、7,200rpmの高速なHDD(もしくはSSD)と、Windows 7 Professional 64bit DSP版を別途購入し、ThinkPad X61のHDDを交換してしまう方法です。こうすれば、今使っているHDDのデータはそのままですので、もし何かあってもすぐに元に戻すことができます。ThinkPad X61のHDDは簡単に交換できます。また、高速なHDDに交換すれば、使用感が大きく向上しますよ。ちなみに、Amazonで、2.5インチ320GB 7200rpm HDDと、Windows 7 Professional 64bit DSP版の価格は、こんな感じです。